幼少期愛犬を病気で亡くしペットロスになりました。

その体験から、動物の病気の予防や早期発見早期治療の必要性に加え、飼い主さんの心にも寄り添う獣医師になることを決意し、獣医師になりました。

 

高校と大学時代には、ポメラニアンのブリーダー兼A級ハンドラーさんのお宅で、正常な犬について学びました。愛犬の出産に立ち会う機会もあり、繁殖育児について愛犬から学ばせてもらいました。自身もドッグショーに参加することで、触診や視診の基礎行動学を学習しました。

 

そして、大学5年生の頃に、猫のトンキニーズのブリーダーさんのお宅で、正常な猫について学びました。難産時は深夜に出産の介助人口哺乳の経験もし、猫から猫と犬の違いも学ばせてもらいました。そのような経緯から、猫との信頼関係が自然に築けるようになり、獣医師になってからは病気の猫が自ら私に寄って来るようになりました。

 

このような背景を土台として視野を広げ、かかりつけ医になる為に総合臨床医を目指し、様々な地域で、一次診療(内科・外科)から看取り、救急医療、夜間救急往診、病院長まで幅広い経験を積んできました。その理由は、獣医療の立場からの一般的な正解と、動物と飼い主さんの立場からの正解は異なるからです。獣医療でも、動物のことだけでなく、飼い主さんの価値観や人生観の違いも考慮する必要があると考えています。

 

24時間動物病院等で夜間救急診療を担当していた際、『飼い主さんの様々な困った』に遭遇してきました。例えば、救急医療と一般の医療の違いを認識せずに来院し、時間をかけて相談しながら治療方針を決められると思って受診したら、命に関わる状態で予想より相談する時間が少なく、治療に反応が無く亡くなってしまった。てんかん発作で動かせない。車が無くタクシーにも乗せてもらえない。飼い主さんが、高齢、介護中、子育て中、病気の為、受診出来ない。といった、認識や価値観の相違、物理的な問題がある事がわかりました。前職では、往診の要望はあっても導入の予定が無かった為、せめて自身の担当患者さんだけでも対応できないかと考え、開業することにいたしました。

しかし、往診は利益が少ないだけでなく、夜間に個人宅を訪問する事はリスクが大きい為、特に女性では携わる人が少ないのが現状です。

 

だからこそ、夜間にも、動物の生活の質まで考慮したテーラーメイド医療も行える獣医師が必要であると考えました。10年ほど前、ワンオペ院長時代に、入院の子がいると泊まって一緒に過ごしていました。動物と心が通うと、無理に押さえつけなくても暴れず、採血、血管確保、エコー検査、尿道カテーテル留置などをやらせてくれました。その時に、動物と息を合わせることを、動物に教えてもらいましたあの時の経験があるので、今の私がいます。動物と飼い主さんと私が協力すれば、医療を行える経験に裏付けられた実績があります。

 

お気づきですか?当院は往診なので、全て持ち運びを想定したを医療機器を選定しています。医療機器も大切なスタッフと考えているからです。細かい事にもこだわりを持って医療に向きあっております。

 

これまでの『感謝と恩返し』の気持ちを込めて、母校がある東京都武蔵野市夜間救急専門の往診動物病院開業いたしました。

 

獣医師一人の小さな往診動物病院ですが、動物、飼い主さん、業者さん、他の動物病院の皆さんと『チームうちの子』をつくりたいと考えております。

微力ながら、獣医療を通して社会貢献が出来れば幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

獣医師 只見景子